宝生会 特別公演

能「翁」(おきな)

   

「翁」は特別な演目で、そもそもは五番立てであった一日の番組の一番最初に演ぜられる儀式的な曲で、今日では年頭の初会の時や、舞台披きなどで舞われます。露払いの千歳の舞、翁の舞、狂言方の三番叟が舞う「籾の段」「鈴の段」という三部構成になっています。
翁は天下泰平、国土安全を祈るという古来の農耕儀礼の伝統を受け継いでいます。翁が最初に正面に向かい深々と礼をしたり、舞台の上で面を掛けたり、翁帰りと言って途中でシテが帰ってしまうなど、幾つか他には無い特色があります。

シテ 澤田宏司(クリックで能楽師情報をご覧いただけます)






能「大原御幸」(おはらごこう)

 

壇ノ浦で安徳天皇と共に海中に沈んだ国母建礼門院は、からくも助けられて、阿波内侍、大納言局とともに、大原の寂光院で暮らしていました。初夏のある日、建礼門院と大納言局が裏山に爪木と蕨を採りに出かけた留守に後白河法皇が遥々訪ねて来ます。留守番をしていた阿波内侍と言葉を交わしていると、門院と局が山から帰り、門院と法皇は久々の対面を果たします。
数奇な人生を辿った門院に法皇は六道の実相を尋ね、さらに壇ノ浦での安徳天皇入水の有様を語らせます。平家物語の最後「灌頂の巻」そのままの能絵巻。

シテ 佐野由於(クリックで能楽師情報をご覧いただけます)






能「正尊」(しょうぞん)

 

京都堀川に蟄居している義経の元に、鎌倉から土佐坊正尊が京に上って来たという報告がもたらされます。義経は弁慶を正尊の旅宿へ遣わし屋敷まで連れて来させます。討っ手であろうと攻める義経に、あくまで物見遊山と言い張る正尊は起請文を読みあげます。もとより偽の起請文であったがその文才を褒めた義経は酒宴を催し静に舞を舞わせ正尊をもてなします。
正尊が宿へ帰った後、義経方が戦の支度を調えて待っているところに正尊方が攻め入って来ますが、皆ことごとく討たれ、正尊も生け捕られてしまいます。

シテ 佐野登(クリックで能楽師情報をご覧いただけます)





演目紹介ムービー公開予定 しばらくお待ちください。





狂言「酢薑」(すはじかみ)
   

津の国の薑(古くは山椒のこと)売りが都に上り商売をしようとすると、和泉の堺の酢売りがやって来て、目の前で酢を売り始めます。互いに系図を言い自慢し合いますがどちらも譲らず、それぞれの商売物「カラい」「スっぱい」によそえ、秀句(しゃれ)で勝負することにします。ところが秀句を言い合っては二人で笑いあい、いつまでたっても埒があかないので……。