新着情報
2021.12.19
2021年10月31日(日) 日本全国 能楽キャラバン!宝生流東京公演「獅子三題」が開催されました。
盛会のうちに幕を閉じた一日限りの特別公演を、舞台写真と共にご紹介いたします。
能「望月」
シテ 金井雄資
子方 藪俊太朗
芸道に邁進し成熟のさなかにある金井雄資、子方らしく溌剌とした姿をみせる藪俊太朗による「望月」は、特別公演の口火を切る華やかな舞台となった。
狂言「獅子聟」
舅 山本東次郎
聟 山本則秀
東次郎家のみに上演が許された秘曲を、この度「獅子尽くし」のひとつとして上演。
舅に所望され、獅子舞を舞って見せる聟。能の獅子とも異なる、緻密な型が連続する”狂言の獅子”から目が離せない1時間であった。
能「石橋 赤黒」(しゃっきょう しゃっこく)
前シテ 武田孝史
赤獅子 宝生和英
黒獅子 佐野登
約173年振りの新小書を、二十代宗家・宝生和英が制作。
獅子の舞は、一噌幸弘師が黒獅子を象徴する曲を新たに作曲。
従来の獅子の舞と新しい音とが融合した緊迫した舞は、通常の連獅子とは異なる意味合いを持ち、現代の時代背景を反映した演出となった。
今を生きる我々から、次世代へ残す作品。
<新小書制作によせて 宝生和英>(抜粋)
この新演出を思いついたのは、2020年、最初の緊急事態宣言中のことでした。疫病禍に対する恐怖、そしてそこから生まれる対立。現代社会のひとつの限界を見たと感じました。この現状を、能楽として後世に向けて記録できないか。「小書」という形で残そうと思いつきました。いつか未来に生きる人々が同じような困難に直面した時に、この「赤黒」が上演され、2020年の苦難とそれを乗り越えた力を感じてほしいと思います。今の私たちが、新たな時代の人々の力となることを期待して制作しました。
私はこの作品を通して正義を問うのでなく、人間の因業、そしてその苦難の先に成熟があることを示したいと思います。